キリちゃんの老猫の健康管理シリーズの続きです。今日はちょっとシリアスで深刻なお話。ウンチについてです。
排泄すべき不要物が、体内にたまったままになると細菌毒素などが体に再吸収されてしまい命に関わってくるので、老猫にとって便秘はとても重大な問題です。
この記事では、我が家の老猫キリの健康管理について獣医師の先生方からのアドバイスを踏まえて、うまくいった方法などシェアーします。
ちょっと長い記事になりますが、最後にまとめの項目を設けてあります。便秘気味の猫ちゃんのために活用していただけたら幸いです。
便秘で苦しんでうずくまる猫
キリちゃんが20歳のお誕生日を迎えるちょっと前の出来事。
いつもは朝から「ごは〜ん!ごは〜ん!」と雄叫びをあげてるキリが、静かにじっとうずくまったまま、身動きできなくなっていました。
近寄ってみると、息が詰まったみたいに苦しそうにしています。
ご飯を持っていったら、見向きもしなかったので、今度は大好きなヤギミルクやオイルをあげてみたけれど、「それどころじゃないっ!」って、怒られました。
キリがうずくまってご飯を拒否するなんて、生まれて初めてのことでしたから、私もうろたえてしまいました。
しばらくキリちゃんのそばで、どうしたのか考えてみました。すると、ふと今朝はウンチが出ていないことに気づきました。
思い返してみると、その頃のキリちゃんのウンチは小さくって水分が少ないコロコロのウンチになっていましたが、引っ越し後の片付けや手続き等でとても忙しかったのと、水回りの工事などでキッチンが使えず、しばらく手作り食をあげていなかったのでした。ごめんね〜。
真っ先に苦しみをとってあげなくてはなりませんので、緊急処置として自分なりに考えてウンチを出すことにしました。
①まずはお湯を浸したペーパータオルで肛門を温めました、
②少し刺激した後、お腹の上から大腸をそっとマッサージ。
③なんとなーくウンチの塊が指先に感じられるので、直腸まで導くようになぞってゆきました。
④気功でウンチを柔らかくし、蠕動運動を促進するように試みてみました。
どうやらお尻を温めたいらしく、その後、ステンカ(ちび猫)にお尻をくっつけて温めてました。さすが!キリちゃん知恵者!
救急措置のあと、いつもキリがお世話になっているホリスティック獣医の先生に連絡をして状況判断と処方をお願いしました。
そうこうしているうちに、ケージを見てみると3cmほどのウンチが二本出ていました!やったね!
でもその時点ではまだ完全にいつものようには元気になっていません。
「病気」は、これまでの生活習慣の積み重ねが現れた現象です。
だから、病気になった時には、症状をとめるだけでなく、これまでの習慣を変える必要があります。
「歳をとったから」「加齢でしかたがない」ですませてはいけないです。
それは、人間も猫さんもまったく同じことですよね。 とにかく現れている「症状」から、今後の改善策をみつけていくことにしました。
猫の便秘の根本的な原因は、腎臓の機能低下
獣医さんによると、腎臓機能の低下による脱水症状が原因で便秘が引き起こされているのではないか、とのこと。
だからウンチが水分少なめのカチカチになってしまうのですね。
腎臓機能が低下してくると、水を多飲して多尿になるにもかかわらず、老廃物や余分な電解質、リンなどのミネラル類を尿中に排泄することができなくなり、体内に毒素がたまってしまいます。
水をたくさん飲んでも多尿によって失った水分を補うことができず、脱水症状を引き起こしてしまうのだそうです。
腎不全(機能低下)からくる貧血が原因で、血流・酸素の流れ・気の流れが悪くなってしまうとのことで、先生から腎臓をサポートするレメディーと、貧血を改善させるホメオパシー製剤、などを送っていただくことになりました。
「え?便秘が主な症状なのに、貧血と腎臓機能を上げる処置だけ?」って、思われた方もいらっしゃるかもしれません。
ウンチが硬くて水分を含んでいないために、どんどん腸に溜まってしまってる部分については、物理的な問題ですので、ホメオパシーその他で対応するのは難しいのです。
ホメオパシーでの治療はエネルギー療法ですからね。
そこで、物理的な問題は物理的に解決する必要があります。
腎臓機能をあげて貧血をサポートしつつ、ウンチ自体を水分を含んだGoodなウンチにしてあげなくてはならないですね。
そして、蠕動運動を促すように繊維質を含んだお食事を与え、よく運動させて、マッサージをしてあげます。
ウンチの前段階、お食事をまずは見直す
実際に老猫を飼っていらっしゃる方は、一番下についている過去記事も是非お読みいただけたら嬉しいです。
そこにも記載したように、猫には必須脂肪酸が欠かせません。もちろん便秘問題の改善にも必要です。
DHA・亜麻仁油・オリーブオイル、これらを交互に与えます。
DHAは絶対的に必須で、週に一度くらいはあげてください。
サプリメントになってる事が多いので、ハサミで切り込みを入れて餌にブチューっとたらします。
また、他の日はオメガ3である亜麻仁油だけでは組成的に足りないためオリーブオイルも交互にあげなくてはならない、というアドバイスも先生からいただきました。
生活環境が整っていなかった為に、しばらく手作り食をあげていなかった事を反省し、さっそくサツマイモとオートミール、それからサーモンを使ってお食事をつくりました。
サツマイモは食物繊維が豊富な食品で、アレルギーの子も少ないのでたまにあげるといいですね、と先生談。
缶フードにふかしたサツマイモをつぶして混ぜてあげてもいいですね。
オートミールは食物繊維を多く含み犬も猫も大好きです。鮭やレバーを煮た煮汁にオートミールを入れます。
その中に猫にはパセリのみじん切りも加えます。パセリは寄生虫予防にもなります。 (犬は緑黄色野菜を大量にとるとまずい場合もあるのですがその件は長くなるので割愛します)
缶やドライフードのみあげている場合は、ニンジンのスリおろしたものを混ぜたり、茹でた野菜のみじん切りを入れると食べてくれる子がおおいのではないでしょうか。
また、お水を沢山飲んでもらわなくてはならないので、お水を飲まない子は肉スープとか魚スープなどをあげて水分を飲んでもらうようにしてくださいとのこと。
今回、キリちゃんが体験したような、緊急事態の時には「室温にしたヨーグルト」を与えるのも効果があります。
ただ乳製品は毎日あげない方が良いので、あくまでも緊急時に苦しみから救ってあげる時の対処に用いた方がいいですね。
お腹をこわしてしまう子は、ビオフェルミンなど、ビフィズス菌をあげても同じような効果が期待できます。
それから、毛玉を除去するためのチューブに入ったサプリメントがありますが、あれも便秘の緊急事態の時に効果を示します。
ペトロモルト(猫の毛玉とり)
ただ、成分が心配ですから、便秘がヒドい子に月に数回与えるだけにして、毎日は与えない方がよい、という意見が多いです。
現在のキリちゃんはというと、ウンチが出なくて苦しむ事は無くなりました。
でも、たまに小さくて硬そうなウンチの日もあります。気を抜かずに健康管理をつづけていこうと思います。
ウンチは健康のバロメーターですから、そんな時は前日に食べたものを思い出して、次のお食事の改善に努めます。
老猫の便秘のサインは「いきみゲロ」
飼い猫さんがお歳をとってきたら、ウンチが出ているかどうか、ウンチの質はどうか、を観察するとともに、もう1つ重要なチェックポイントがあります。
それは「いきみゲロ」です。
女王キリちゃんにあまり相応しくないお言葉ですが、老猫にとって非常に大事なことになります。
「いきみゲロ」が観察されるようになったら、便秘症がかなり進行していると考えていいと思います。
「いきみゲロ」とは!?
ウンチの質が硬くなってきたために、猫さんが踏ん張りすぎて、それでもウンチを出すことができずにゲロを吐いてしまう現象です。
キリのウンチが硬くてコロコロになってきた頃から、ときどき朝トイレの周囲に少量のゲロがあることに気づきました。
食べてすぐのゲロとは違いますので、少量なのです。下から出せずに上からでちゃうの、かわいそうです。
多頭飼いの場合、できれば寝る時に個別にトイレ付きのケージの中に入れておくことをお勧めします。
そうでないと、どの子がどんなウンチをしたか?どの子がいきみゲロを吐いたか?など区別がつきません。
これらのサインを見逃し、生活習慣や食事の内容を改善せずに放置したままでいると、今度は肛門から指を入れて摘便(固すぎる便を肛門から摘出)しなくてはならない事態になってしまいます。
これは猫ちゃんにとって非常に辛いものですし、頻繁にやると腸壁が傷ついてしまいますし、できることなら避けたいです。
お湯での浣腸で難を逃れている猫さんもいる様です。しかし、こちらもやはり、毎日腸内を洗浄されてしまうと腸内細菌のバランスが崩れてしまいます。
このような影響が出てしまいまうので、できれば自力でウンチを出せる環境づくりをまずは考えることをお勧めします。
そのほうが、猫さんにとっても飼い主にとっても負担が軽いのではないでしょうか。
老猫の便秘対策のまとめ
説明が多かったので、この記事のまとめです。
🐈まずは腎臓の機能をあげるためのサポート(我家はホメオパシー)
🐈数種類の必須脂肪酸を与える(DHA・亜麻仁油・オリーブオイル)
🐈食物繊維を含んだお食事を与える
🐈水分を与える工夫をする(肉の美味しいスープなど)
🐈老猫は低血糖になるのでお食事は何回かにわけて与える
🐈ウンチが出そうな時間帯にお腹をマッサージしてあげる
🐈お腹やお尻を温めてあげる
🐈たまにペトロモルトやヨーグルトやビフィズス菌を与える
体調が悪くなった時とか、老齢になった時など、食事療法で改善しなくてはなりません。
薬だけに頼り、改善させることは難しいです。
ですから、若いうちからいろいろなものを食べる事に抵抗が無くなるようにしておいてあげた方が良いでしょう。
フードなら数種類のブランドを交互に与える
猫さんはそれまで食べたことが無いものを食べるのに抵抗があります。
そんな時は、大好きなものにちょっとずつ混ぜてあげると、いろいろなものが食べられるようになるでしょう。
「うちの子はこれしか食べないので〜」とおっしゃる飼い主さんもおられます。猫の性質上しかたがないと。しかし、努力次第では、いろんなものが食べられるようになるのです。
「これしか食べない」で終わらせていては、猫ちゃんの健康が脅かされる可能性が出てきてしまう、と肝に命じていたいです。
西洋医学のみの獣医さんの中には、猫には一種類のフードのみあげるべきだ、と言う方もいらっしゃいます。
がしかし、手作り食まではできないとしても、フード一種類のみではあまりにも健康リスクが高すぎるのではないでしょうか!?
栄養的に偏るかもしれないし、内容物で体に合ないものが入っていた場合に体に蓄積され続けてしまいます。(重金属や鉛が入ったフードもあるし、アレルゲンが入っていることも)
過去にも様々な事件があったこと覚えていますか?
1つのブランドオンリーを与え続けた結果、次々にペットが死んでしまった事件が。肉に見せかけてほぼ中身が大豆だった有名ブランド。
動物のことより利益を優先した会社なのに、いまだに大手メーカーとして店頭にフードが並んでいることが信じられません。
ペットフードのみ与える場合でも、バラエティーにとんだブランドのものを変えて与えた方がリスクを抑えられるでしょう。数種類選んであげて交互に与える工夫がリスク回避になります。
あとは、猫さん達はあまりお水を積極的に飲まないので、若いときから水分をたくさんとらせるような工夫をしていると健やかな老後が過ごせるのではないでしょうか。
餌を与える時に一緒に水も混ぜるのもいいですよね。お水まで全部飲んじゃいます。
あまりに水を飲む量が少ない猫ちゃんには、スポイトや針なしの注射器でお水を与えてあげるといいですね。
以上、老猫の健康管理についてご紹介しました。
ウンチ大作戦でみなさまの猫ちゃんも便秘を解消してあげてくださいね。
猫と一緒に暮らしていらっしゃる方、よろしければ老猫の健康管理シリーズの過去記事もあわせてご覧ください。
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