「猫のキリちゃんは、どうして亡くなったのですか?」と、人に聞かれることがあります。
そんな時、私は「フツーに老衰ですね」と答えています。でも実際はそうではなく、こう答えるべきなのです。
「キリは、私がやっとエゴを手放せたので、旅立つことができたのです」
願いや望みという名の人間のエゴ
私には大きな望みがありました。
それは、アメリカ3州をまたにかけ6回、日本国内で3回、合計9回の引っ越しを共にしてきたキリちゃんと、暖かくて心地よい新居に一緒に入居すること。
21歳になってからというもの、水分の代謝がうまくできなくなってきたので、自宅で皮下点滴をするようになりました。
西洋医学の獣医師さんに加えて、ホリスティック獣医師の先生にも大変にお世話になり、波動検査をして必要なレメディーを与えたり、解毒したりを続けてきました。
そして何より、私だけでなくキリちゃんパパも奇妙な治療師?僧侶?ですから、我々はありとあらゆる手を使って、キリちゃんを元気にさせていたといえるでしょう。
昨年に5月末頃、母に泊まりがけでお世話をお願いして、5日間ほど出張に出掛けました。
帰宅してみると、キリはボロ雑巾のようになっていました。4日前は元気だったのに。
その翌日くらいに、キリがストロークを起こし倒れました。脳卒中のような症状です。(人のそれと似ていました)
足がしびれて痙攣し、瞳孔が開いてるのに目の前が真っ暗になって、引き攣れをおこし手足をバタバタさせ、バタンと倒れたのです。
私は頭がパニック状態に陥りました。なにをどうしたらよいのか、ぜんぜんわからない。
そばにあったキリ専用のケージに寝かせたら、手足をぐーっと伸ばし、ぴーんとまっすぐになりました。
そして、どんどん、どんどん、息が静かになってきて、やがて息が途絶えました。
今思い返しても、どうしてそんなことをしたのかわからないのですが、なぜか私は倒れたキリのそばに座り込み、キリのおでこに自分のおでこをくっつけました。
そして、「みんなで一緒にお引っ越しするよ」「キリのお部屋もあるよ」「たのしいよ」「温かいよ」と、それぞれの画像を送りました。
なぜ、脳卒中で倒れてるのにそんな事をしていたのか…..意味不明な行動をとっていました。
少しすると、なんと!キリがむくっと起き上がりました!キリは目を開けたんです。
そして「はぁ、しかたないわねぇ」と言いたげに “ため息” をついて、今度は普通に寝る時のように丸くなって、深い眠りに入りました。
ほんとに深い深い眠りです。キリが自分で治ろうとする時の眠り方です。
この時の事を詳しく獣医さんにお話ししたら、「それはそれは、危なかったですね」と言われました。
死ぬ時。手足を伸ばします。現に息が止まっていました。
キリは、一度死んだけど、私があまりにもエゴイストなもんだから、しかたなくもう一回帰ってきたようなのです。
家族の負の感情を吸い取ってたキリ
キリがため息とともに蘇ってきた時、本当に嬉しかった。
でも、日が経つにつれて「私は自分のエゴで、してはいけないことをしたのでは?」という疑問が頭の中で大きくなってゆきました。
宇宙の摂理に、大自然の法則に逆らってしまったのではないか?
でも、エゴだろうが何だろうが、いい。
とにかく、初夏になったら新居に一緒に入居したいんだ!と、その疑問に対して真摯に向き合おうとはしませんでした。
引き続きホリスティック獣医師の先生に、診てもらったところ代謝不足や内蔵の循環不全などがあったので、治療をしました。
それに加えてまた「精神的要因」があったと検査で出ており、それは「家族が言い争うことに耐えられない」というものでした。
獣医師の先生の話を聞いて、そぐにピンときました。
その頃、父と母が喧嘩をしていたのです。出張で母に預けた後にキリの容態が急変したのでなるほどと思いました。
先生から言われたことを母に伝えると、母は「何だかしらないけど、今回は朝も昼も夜もずーっとキリが膝の上に乗っていたんだよ」と教えてくれました。
そして、その間中、ネガティブな感情とともに父と喧嘩っぽくなった時のことをずーっとループの様に考え続けていた、と話してくれました。
ひたすら負の感情を考えていたので、キリが癒してあげようとして母の膝の上にずっと座っていたのでしょうか。(キリは抱っこや膝の上の昼寝はあまり好きではない子です)
そして、母を楽にさせてあげようとして、辛さやらなんやら、吸い取ってあげてたんじゃないかと。
実は、これと似た出来事はもう一回起りました。その時も母に泊まりにきてもらって、お世話をお願いしていて、出張から帰ってきたら、キリがボロ雑巾状態でした。(その時もまだ父と母は仲直りしていなかったそうです)
キリの担当医に検査してもらったら、また精神的な要因があるという結果が出ました。その内容はまたしても、母がもっていた感情と同じものでした。
よくペットを飼っている人達が「あのコが悪いところをあの世に持っていってくれた」と言います。
動物を飼ったことがない人も、どこかでそんな話しを聞いたことがあるのではないでしょうか。
まさに、キリはそれをやっていたのだと思います。
動物は、自分の死ぬ時を知っているし「いつ」にするかもコントロールできる様です。
だからこそ、キリはいろいろと準備をしていたかもしれない。
それなのに、私がエゴを手放せずにいたものですから、逆に苦労をかけてしまうことになってしまいました。
ようやく心の整理がつきエゴを手放した私
キリは脳卒中で倒れそして復活。そのあとは、食欲もあるし、2階と1階を行き来したり、よく喋るし、足もとはふらついてるけど、アクティブで元気に過ごすことができていました。
ただ、代謝の問題で水分が足りなくなったり、充分な栄養素を腸から吸収できないので、痩せていました。毛並みだけは良かったです。
元気に歩き回っていても、筋力が衰えているからウンチが出にくい日もあります。出ない時はほんとうに辛そうです。
でも私達は、レメディーやいろいろな自然療法の技でウンチを出してしまうことができる。
老体にむち打って、がんばってくれている様子を見つつ、私も沢山、自問自答を繰り返しました。
「私のしていることは、間違っているかもしれない」
自然の摂理に反したことを繰り返し、自分の望みを叶えようと必死になっている。
そしてある日、私はやっと、やっと、エゴを手放すことができました。
キリにいっぱいいっぱいお礼を伝えました。
そして、「私はもう大丈夫だから」、と。
キリには最後までお世話になりっぱなし
キリは、パパの誕生日に旅立ちました。
この日はキリちゃんパパの誕生日を祝うため、数ヶ月前から料亭に予約を入れていました。隠れ家的な高級料亭なので、キャンセルはできません。
キリが旅立ったのが午前中の11時前後でした。葬儀は翌日です。
もしも、この日に料亭など予約していなかったら、ずっとずっと号泣しっぱなしだったでしょう。
しかし予約があったので、しかたなく準備をして出かけました。
そして、お誕生日の宴ではなく「今日は、キリちゃんの旅立ちを見送る会にしよう」と、いうことになりました。
そこの料亭のおもてなしは一流だな、と感じました。
ヘンな夫婦がお料理を食べながら、時々泣いたりしている。でも、ときどき微笑んだり乾杯したりしている。
でもほぼ、2人とも泣き顔なので、背後から配膳してくれていたのです。
顔を直視しないようなサーブ、お心遣いがありがたかったです。
キャンセルできない高級料亭の予約が入っている日、パパが家に居る日、誕生日に旅立つことにしたキリちゃん。
「キリちゃん、やっぱりサスガだわ!」
「キリちゃんの采配に乾杯!」
この日だったからこそ、キリちゃんの想い出話しをしながら、ときどき笑い泣きしながら、良い時間を過ごせました。
最後まで、迷惑をかけっぱなしだった私。
最後まで、気遣いをしてくれたキリちゃん。
キリちゃんのおかげで、母も父と仲直りしています。
私の気になっていた体の症状も気づいたら無くなってた。いろいろ、持っていってくれたのかな。
Dearest Kiri、
また逢える日まで、
いつも想っています。
ここまでお読みくださり本当にありがとうございました。
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