映画『ノルウェイの森 Scenes from Norwegian wood』を見てきました。
脚本・監督は、『青いパパイヤの香り』を手がけたトラン・アン・ユン氏。
原作である村上春樹さんの小説「ノルウェーの森」は、1987年に発表された作品で、これまで36カ国語に翻訳されており、累計発行部数1000万を超えているそうです。
その頃、「 “ノルウェイの森” はもう読んだ?」というのが合言葉のようになっていたぐらい、社会現象化されたベストセラー小説でした。
上下巻の2冊あり、ミーハー的な感覚で友人から借りて読んだものです。
そんな軽い気持ちで手に取ったのだけど、ノルウェイの深い森に迷い込んだように、すっかり村上春樹さんが描く世界のファンになりました。
ですが、1987年といえば、かれこれもう24年も前のこと。ストーリーはほとんど覚えてないな〜と思いながら映画館に入りました。
おぼえてないといっても、椅子に座っていたら、ぼんやりとした映像がいくつも脳裏に写しだされました。
小説の中の主人公ワタナベが見ている世界の雰囲気。ワタナベの同級生の『緑』という女の子の、つかみどころのないようなキャラの雰囲気。
主人公が森の中を歩いている情景や、彼のゆらゆらした感情とか、そういった風景をよく覚えていたのです。
映画を見る前に、記憶の引き出しからこれらのピクチャーが自然に脳裏に滲みでてきました。
小説の内容そのものは忘れていても、すべて『視覚化』された形で覚えていたわけです。
本の装丁がグリーンだったせいもあるかもしれないけど、すごく緑色のイメージが印象に残っています。(森をはじめ緑色のカエルとかも描写に出てきたし)
そんな遥か昔に読んだ小説の、情景やイメージだけを覚えているなんてとても不思議。私にとっては、他の小説ではあまりない現象でした。
映画を見終わって思ったことは、村上春樹さんの描いた世界の「雰囲気」のようなものがうまく描写されていたなー、ということです。
映画化を村上春樹さんに打診してから、オーケーをもらうまでに4年もかかったのだそうです。この雰囲気のようなものが出せる脚本家や監督との縁やタイミングなどもあったのでしょうか。
心象風景がおおい小説ですが、うまく映像化されていたと思います。(ただ長編小説をたった2時間にまとめたので内容がおもいっきり違うという批判が多いようですね...)
何より驚いたのが、私の記憶の中の「視覚化」された映像が、そのまま再現されていたこと。
緑色な雰囲気とか、主人公のゆらゆらの世界観とか、同級生『緑』のコケティッシュだけど繊細な雰囲気とか。(なぜかヒロインの直子のことは私の映像記憶にないんです...)
小説を読んだときも、メッセージを読者にゆだねる感じがありましたが(どの小説も本来はそういうものでしょうが)、映画も「ゆらゆら」「もやもや」で終わりました。
詳しい感想は述べませんが、とにかく自分の『視覚化』の記憶が鮮明だったことに新鮮な驚きを感じたので書いてみました。
わたしがオバ大生時代は、GPA(Grade Point Average)を上げる為に嫌いな科目の点数を上げようと『記憶術』を駆使していました。(GPA = 4段階の成績をそれぞれ数値化した平均値)
古い本なので絶版になっている様ですが、その時に活用していたのが
「記憶力がよくなる本」(マーク・ブラウン著)です。
「記憶したい事を、映像に変えて覚える」という技法で、古来から行なわれていた方法だそうです。
これは、抜群に効果がありました。
特に、嫌いで勉強する気にならない科目に用いました。
専門科目だけはしっかり学び、必須科目の中でいくつかを丸暗記するために用いたのです(アメリカ歴史の教科書とか超怒りが湧いてきますので丸暗記でスルー!)。
映像で覚えるので、視覚化が「再現ボタン」になるのです。
ボタンを押すと、次々に覚えたことが引き出されるので、特にエッセイ式の回答など、素晴らしくデキました。一字一句おぼえたとおりに記憶の引き出しから引き出せるからです。
そんな事も、映画「ノルウェーの森」をみて思い出していました。
読んだこと、頭に描いたこと、音楽、匂い、味、雰囲気、など受信した事柄をビジョン(映像)にかえて記憶を脳の引き出しにしまうことは、人生を豊かにします。
もちろん、視覚派ではなく聴覚派やそれ以外の人も訓練することで記憶術やその他に大いに活用することができます。
関連記事▶︎脳の特徴による学習パターン、読んで勉強したい?耳から聞く?友達と学ぶ?
モーダルチャンネルを変えて感覚を受信してみることは、脳の機能をうまく使ってゆくためにもなるし、有意義で楽しいことですね。
「ノルウェーの森」主題歌