微細表情筋(マイクロ・フェーシャル・エクスプレッション)の勉強をしています。
大学教授から学んでいるのですが、とても興味深い学問です。
「観察」と「診断」をする方法なので、すぐに知識を日常生活に活かせるから、よけいにおもしろいのです。
微細表情とは、0.2秒未満というほんの「一瞬」だけ顔にあらわれる表情のこと。
0.2秒未満しか現れないので、訓練をしていない一般の人にはなかなか見分けられない表情です。(0.2秒以上あらわれている表情は、微細表情とは呼びません)
微細表情についてのセオリーは、『人間の感情を表す基本的な表現には、共通した特徴がある』という、カリフォルニア州立大学の心理学科教授であり、表情研究の第一人者であるポールエクマン博士による研究成果。
人間の基本的な感情が、微細表情としてあらわれる事を、博士は発見されたのです。
(怒り、軽蔑、嫌悪、喜び、悲しみ、驚き、恐怖、罪悪感)
この法則は、使っている言語にかかわらず万国共通だということも研究によってわかりました。
しかも言語を持たない未開人においても、言語をもった人間とまったく同じ微細表情筋の動きがみられるのだそうです。
たとえ言葉を持っていなくても感情はあるのですから納得です。
学問を実生活に落とし込んでみたら
人間の基本的な感情というのは
怒り
軽蔑
嫌悪
喜び
悲しみ
驚き
恐怖
罪悪感
先日、あるグループを統括しているリーダーの方が、一瞬「嫌悪」の微細表情を見せたことに気づきました。
私が何か気に障ることをしでかしたかしら!?と心配になりましたが、実はそうではなかったことが後からわかりました。
そのリーダーは、上層部から「みんなの遅刻をなくすように」と指示されていたために、遅刻して部屋に入ってきた人を見て、嫌悪の微細表情筋が動いてしまったみたいでした。
もちろん、一般の人が見たらその方のにこやかな微笑んだ表情にしか気づかないはずです。
守らなくてはならないルール
微細表情を見る(観察する)にあたって、注意しなくてはならないことが一つあります。それは、
微細表情でみせた『感情』は、その時の感情とはまったく関係がないことが多々ある。
という点です。
ここに留意しなくてはなりません。
「相手の感情を決めつけるな」という法則は、ここでも当てはまります。
心理学でいわれる『読心術』といって、精神的な不安定の元となる諸悪の根源となる行為です。
例えば...
「ワタシ、赤いスカート買おうかと思ってるの」と言った時に、もしも相手が「嫌悪」の微細表情を見せたとしても、「ワタシが赤いスカートを買うことに対して、このヒト嫌悪感を抱いてるんだわ」と、安直に思わないこと。
もしかしたら、その人は小学生の時に赤いスカートを着たクラスメートにいじめを受けた経験があって、そのことを一瞬思い出して嫌悪の感情が思い起こされていた可能性だってあります。
たとえば、の話しです。
相手の感情を勝手に決めつけてはいけませんので、たとえ微細表情が読めたとしても、本来はなにも判断せず見逃す(流す)べきなのです。
微細表情を読む技術はどんな時に活用すればいいのか?
人の微細表情を判断してはいけないなら、どんな時にその技術を使うのでしょうか?
犯罪調査とか
嘘を見分ける時
にプロが使います。
私たち一般人が微細表情を読むとしたら、犯罪防止の目的で使うと非常に役立ちます。
騙されないように、判断材料として利用することも有意義です。
先日「ちいさなビルを一棟買う」という友人に付き合い不動産屋の方と連れ立って、物件を見にいきました。
私にとっては、まったく畑違いのことですから、話しの内容とか詳しいことはわかりません。
ただ、その友人が不動産屋さんに聞きたかった質問を私がかわりにした時、面白いことがわかりました。
駐車場の台数についての質問をした時には、フツウの表情で答えていました。
どういう入居者が入っているのか?という質問にも、フツウの表情で答えていました。
しかし、「いつまでに購入のお返事をしなくてはいけないのですか?」という質問に対して、こう答えました。
「そりゃ、後ろから買いたい人が目白押しの優良物件ですからねぇ」と答えたのです。
早く購入を決める事を、促すためにそう答えたのでしょうが、そう言いながら「罪悪感」の微細表情が浮かんだこと、私は見逃しませんでした。
不動産屋さんの微細表情によって、その物件の資産価値があまり高くないことがわかりました。
お友達に「判断材料が一つ増えてよかった」と喜んでもらえたし、こんなところで微細表情筋の学びが役立つなんて、ポールエグマンになった気分(!?)で、ちょっと嬉しかったです。
微細表情で感情をみわける方法を学び訓練を続ければ、誰でも微細表情筋の動きは読める様になるはずです。
ですが、この技術を使う者は「他人の感情を決め付けてはいけない」というルールを守った上で使うこと。
勝手な感情の決め付けは、相手にも失礼だし、なにより決め付けをした本人の世界観が悲観的なものになってしまいます。
表情から感情を生み出すテクニック
ポールエグマン博士は、これら研究を踏まえて一般の方々に「フェイシャル・アクション・コーディング・システム」を活用することを勧めています。
上手くいくまでは、上手くいってるフリをする
という箴言の応用です。
ずっと怒ってばかりいると、もう怒ってなくても感情が続きます。
ずっと悲しい顔ばかりしていると、悲しみの感情が根付きます。
顔には43の筋肉があります。他の筋肉と違い、お顔の筋肉(表情筋)には深層筋膜がありません。だから、よく動いて様々な表情をつくることができるのでしょう。
これらの表情筋を利用するのです。笑顔のときの表情筋を使うと、幸福感が高まります。
口をへの字に曲げる表情筋をずっと使っていると、本当に暗い気持ちになってしまうでしょう。
犯罪の解決のために微細表情の技術を使う
私が大学教授から微細表情筋について学ぼうと思ったのは、エグマン博士がモデルになったドラマ「Lie to Me」を見たのがきっかけでした。
捕まえた者が真犯人なのかどうか?エグマン博士は短い面談で的確な質問を投げかけ、判断することができるのです。
どんなに上手く嘘をついても、お芝居をしても、作り話をしても、微細表情筋はコントロールすることができません。顔に0.2秒現れてしまうのです。
エグマン博士がお出ましになると、冤罪も避けることができる。
このドラマの中に出てくる微細表情を診断するシーンですが、エグマンにより解明された本当のこと。
大変興味深く、私のブログ読者さまならきっと楽しめるのではないかと思います。
ビビットきたらチェックしてみてくださいね。